コラム(ある言葉)

その昔、冤罪で捕まり死刑の宣告を受けた男性がいた。

彼は幼少期から仏様を信仰していた。
無実の罪で命を落とすかもしれないが彼は信仰をやめなかった。

ある夜監視人が彼に明日死刑が執行されることをこっそり伝えにくる。
本当は悪事をはたらいていないだろう?と。
はい、と彼は答える。

明日までの命と思うと眠れなかったが知らぬ間に意識がなくなり夢を見る。
信仰していた仏様が夢に現れ、今まで聞いたことのない言葉を話し始める。
この言葉を1000回唱えると命が助かると言う。
仏様の前で何度か言葉を繰り返し唱え、覚えたなと言われたところで目が覚める。

執行まで残りわずか。
必死に唱えていたが間に合うことなく時間が来てしまう。

処刑台の上に連れていかれ執行人が刀を振り下ろそうと準備を始めた時、彼が少し待ってくださいと口をひらく。
私は仏様の信仰から現在、行をしているのですがあと数十回唱えるとその行を達成できます。
唱え終えるまで猶予をくれませんかと直訴する。

監獄で素行が良かったこともあり最後の願いだから叶えてあげようと言葉を唱え終えるのを待つことに。
無情にも1000回言葉を唱え終え、刑が執行されることに。

執行人が刀を天に振り上げたその瞬間、刀が真ん中から半分に折れた。
あり得ない状況に心動かされたこの執行人が死刑執行を取りやめ、噂が時の国王の耳に入る。

目の前に連れてこいと命令が出て彼は国王陛下の前で事の次第を全て話す。
そう言うならば試してみようと同じ状況を作る。

ここで1000回唱えさせ執行人も用意する。
1回目、刀が振り下ろせない。
2回目、執行人の体調が突然悪くなり突然倒れる。
3回目、この行いをやめるよう仏様の声が聞こえるようになる。

目の当たりにした国王は自ら生涯この言葉を唱えるようになる。
そして世界中に伝わる。

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